A.動悸は決して珍しくない症状です。動悸には大きく3つあり、脈が速くなる動悸・脈が乱れる動悸・そのどちらでもない動悸、すなわち不安や緊張で鼓動の強くなる動悸があります。しかもそのほとんどは一時的で生命予後にも影響しません。
しかし、頻度は少なくても、突然死の危険のある危険な不整脈によって生じることもあります。最も心配なのは不整脈によってめまい・失神を起こしている場合です。
また、突然死の家族歴がある場合や心臓の病気を持っている場合などには、その動悸が危険な不整脈によって起こっている可能性があります。原因となる病気を専門医に診断してもらい、適切な治療を受けることが必要です。
A.心臓には4つの部屋があり、そのうちの1つの部屋である右心房から出た電気信号が、伝導路と呼ばれる1本の通路を通じで残りの部屋(心室)に伝わり、この電気信号により心臓の筋肉が収縮して全身に血液を送り出します。
しかし、WPW症候群ではその伝導路以外のバイパス(副伝導路)が心房と心室の間に先天的にあるのです。このWPW症候群は普段は問題ないのですが、時に脈が速くなる頻拍発作が起こることがあります。頻拍発作が起こると急に脈が速くなり(1分間に140~150拍以上)、胸が苦しくなったり血圧が下がったりします。また稀ではありますが、意識を失ったり、突然死を生じる可能性もあります。
したがって、症状のないWPW症候群に関しても、突然死の可能性(ハイリスク群)の有無について検討する必要があります。
A.血圧とは、血液が血管(動脈)内を流れる時に血管の壁にあたる圧力です。高血圧の基準値は、日本の「高血圧治療ガイドライン」に示されています。収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上だと高血圧です。血圧が高いと、より大きな圧力が動脈の壁にかかり、動脈の壁が次第に厚く硬くなります(動脈硬化)。動脈硬化により、動脈が傷ついて破れたり詰まりしやすくなったりします。
その結果、脳卒中、心筋梗塞、腎臓病などのさまざまな病気を起こしてしまいます。また、心臓は無理な仕事をすることになるため、心臓の壁が厚くなり(心肥大)、心不全になることもあります。
したがって、これらの合併症を予防するために高血圧の治療が必要になるのです。
A.血圧はいつも一定というわけではありません。体調、精神状態、活動状態により刻々と変化します。また、時間帯によっても血圧は変動し、明け方から起床時かけて血圧が上昇する早朝高血圧もみられます。最近、早朝高血圧と脳卒中の発症と関係があるのではないか報告されています。
したがって、外来で測った血圧だけでなく、家庭血圧計で自分の血圧をチェックすることにより、より血圧のコントロールがよくなります。最近はいろいろな家庭血圧計が売られていますが、上腕(肘)で測るタイプの家庭血圧計は外来と同じ部位で測るため、最も信頼できます。
自分の血圧がどれくらいであるかを知るために、朝起床後と昼~夕方にかけての計2回測ると理想的です。
A.血圧が高い状態が長く続くと、体、特に脳は血圧の高い状態に慣れてしまいます。したがって、高血圧の人が急に正常の血圧になると、その人にとっては低血圧と同じ状態になってしまいます。
この結果、めまいやふらふら感が生じることがあります。特に高齢の方ではこのような症状がでやすいので、血圧はゆっくりと下げていく必要があります。通常は数週間かけて正常な血圧まで戻してくことが勧められます。
ただし、血圧が220/120mmHgを超える状態が続く場合には、脳出血の予防のために緊急に血圧を下げる必要があります。その場合には入院が必要となることもあります。
A.胸痛がある場合、たいていの人は「心臓がわるいのでは?」と考えてしまいます。しかし、心臓以外にも肺、動脈、食道、胸壁に原因があれば、それが原因で胸が痛くなります。
病気によっては、心筋梗塞・解離性動脈瘤など命にかかわるものもあり、これらは急いで治療する必要があります。胸の中央に急激な不快感・締め付けられるような感じがある場合、冷汗・めまい・不整脈・息切れ・左肩やあごのしびれを伴う場合、またその痛みが15分以上続く場合には心臓に関連した病気(急性心筋梗塞)が疑われます。切り裂くような激痛が胸または背中に突然起こる場合、解離性動脈瘤が疑われます。
また、若いやせ型の男性に起こりやすい自然気胸も、急に激しい限局性の胸の痛みがあります。この場合には咳や呼吸困難も伴います。この他にも肺や心臓以外のさまざまな原因で胸痛は起こります。このような胸痛が出現した場合には、医師に連絡したほうが安全です。
A.このように労作によって数分間持続する胸部の異和感が繰り返し起こる場合には、労作性狭心症が疑われます。 心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が動脈硬化を起こし狭くなると、安静時には何とか栄養が足りていても、運動時にはそれに見合うだけの十分な血液が行き渡りません。
その結果、心臓は「血液が足りない、苦しい!」という信号をだすわけですが、それが胸部の異和感や胸痛となって現れるのです。狭心症の診断には安静時の心電図だけでなく、実際に運動した時に胸痛が出現するか、心電図が変化するかということを調べる運動負荷心電図検査が必要となります。医師に相談をしたほうが良いでしょう。