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ロービジョン外来

ロービジョン外来について

2016年10月から当院眼科にロービジョン外来を開設しています。
ロービジョンという言葉は、多くの方があまり聞いたことがないかと思います。
ロービジョンというのは、英語でlow vision、そのまま訳すと「低視覚」となります。
眼の病気やけがが生じると、薬や手術で治療を行います。
しかし、残念ながら、治療をしても元どおりの視力や視野に戻らないこともあります。
それでも、多くの場合は、全く見えなくなるわけではなく、ある程度の視機能(ものを見る力)が残されています。
その残っている視機能を最大限に活用して、できるだけ自立した快適な生活をおくれるよう支援するための外来がロービジョン外来です。ロービジョン外来で実際にどのようなことを行っているか、いくつかご紹介します。

拡大鏡・ルーペ

眼鏡をかけても、「本や新聞の字が見えない」というとき、拡大鏡やルーペ、特殊な眼鏡を試してみます。
拡大鏡やルーペは、すでにお持ちの方も多くいらっしゃいますが、使いこなせていないこともよくみられます。
拡大鏡やルーペで必要なレンズの倍率が異なっていたり、せっかく倍率があっていても見るものと拡大鏡、眼の距離が正しくなかったりするとよく見えません。新しいものを処方することもありますが、できるだけご本人の持っているものを活用できるよう拡大鏡やルーペ、眼鏡などを持参していただいて、問題なければ、それらを正しく使えるよう練習します。
通常の老眼鏡より度数を上げることによって至近距離ではあるものの文字を読めるようにする眼鏡を処方したり、拡大読書器(字を拡大して見る器械)を紹介したりすることもあります。
眼の中には血液の代わりに栄養を運んだり、眼の形状を保つために、“房水”と呼ばれる液体が入っています。
房水は眼の中の“毛様体”というところで産生され、“隅角”という出口から眼外に排出されます。
この房水の産生と排出のバランスで眼圧は一定に保たれているのです。眼圧の正常値は21mmHg以下とされていますが、これはあくまでも統計的な数値で、それ以下でも緑内障が進行する“正常眼圧緑内障”と言われるタイプの緑内障もあれば、それ以上でも視神経や視野に異常がでてこない“高眼圧症”といわれる状態もあります。

遮光眼鏡

病気により通常より眩しさを強く感じる方もいらっしゃいます。
眩しさと同時に視力や視野も低下していることもあります。
一見、サングラスをかけるとよさそうですが、ふつうのサングラスはすべての光を均一にカットするので、全体的に暗くなり、視力や視野が低下していると、ものが見えにくくなります。
そのようなときは、遮光眼鏡といってご本人が眩しいと感じる光のみをカットするレンズを用いた眼鏡を処方しています。
眩しいと感じる光の波長はそれぞれ異なるので、実際に外の明るいところで数種類のレンズを試して処方しています。

タイポスコープ

視力や視野が低下すると、読み書きの時に文章のどこを見ているのかわかりにくくなることがあります。
そんなときは、タイポスコープといって見たい部分に穴があいている黒い厚紙をご紹介しています。
文章にタイポスコープをあてて見ることによって、読み書きしたい部分がはっきりとして見えやすくなります。
ロービジョン外来では、このように視機能を補助する道具を選んだり、訓練したりするほかに、日常生活で使う便利グッズの紹介、視覚障害者手帳の申請など公的な福祉サービスの情報提供なども行っています。
また、今回ご紹介したような視機能を補助する道具は、ロービジョン(低視覚)の方だけでなく、視力が良好であっても、老眼鏡をかけても文字が見えにくい、眩しい、読み書きするときにその箇所がわかりにくくなるといったようなことで困っている高齢者の方にも有効です。興味のある方は、眼科外来でお尋ねください。
ロービジョンと一言でいっても、一人一人、見え方も困っていることも異なります。

ロービジョン外来では、それぞれの方の要望にあわせて、少しでも生活しやすくなるようにするためのお手伝いをしています。ロービジョン外来は、毎週水曜日の午後3時半から予約制で行っています。
受診を希望される方は、眼科の診察を受けていただいて、各診察医にご相談ください。
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