はじめに
病院では医師や看護師の他に、レントゲン・CT・MRIなどを扱う診療放射線技師、血液や細菌検査・心電図や脳波などの検査を行う臨床検査技師、リハビリテーションを行う理学療法士が働いています。私たち『臨床工学技士』も病院で働く医療技術者です。医師以外の診療補助に従事する看護師や各種の医療技術者のことをコメディカルと呼んでいます。臨床工学技士はコメディカルの一員であり、現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。今後益々増大する医療機器の安全確保と有効性維持の担い手としてチーム医療に貢献しています。
JA山口厚生連では、平成15年6月1日に診療部門の一部門として臨床工学科が設立されました。現在は4名の臨床工学技士で透析室業務と手術室業務をメインにME機器管理業務や医師の診療補助業務を兼務しています。
最近では、医師の働き方改革に伴うタスクシフト/シェアの推進により臨床工学技士法改正が施行され業務範囲が拡大しています。これに伴い厚生労働大臣が指定する告示研修が必修となるため、私たちも速やかに研修を修了し、院内で必要とされる臨床工学技士の業務を展開していきたいと考えます。
理念・基本方針
医師の指示の下、他コメディカルと共にチーム医療に貢献し生命維持管理装置の操作・保守点検を行い安全と安心のできる医療機器を提供する。
業務内容
血液透析
ベッド数26床 総患者数:55名(令和4年12月現在)
月、水、金(午前・午後・夜間) 火、木、土(午前)で血液透析を施行しています。
月、水、金(午前・午後・夜間) 火、木、土(午前)で血液透析を施行しています。
臨床工学技士の主な業務
- 水質管理、透析液供給装置・水処理装置の日常点検
- 物品管理と準備、透析回路組立、プライミング、治療開始前の透析装置の点検
- 透析開始時の穿刺・機器操作、透析中の患者観察、透析終了時の返血操作
- 採血結果のデータ分析・集計
- シャントエコー
透析装置
- 患者監視装置26台(JMS社製:GC-110N 4台、GC-X01 11台 日機装社製:DCG-03 2台、DCS-100NX 6台、DCS-200Si 3台)
- 重症透析室及びICU専用 1台(JMS社製個人用透析装置:SD-300)
- 多人数用透析液供給装置(日機装社製:DAB-30E)
- 逆浸透水処理装置(JWS社製:MIE752-HI-10+02b)
- 粉末溶解装置(日機装社製 DAD-50NX)
2007年4月より電子カルテと透析情報システム(ERGOTRI)を連携して、今まで以上に医療安全、患者サービスの向上及び業務の効率化を図っています。
JMS透析情報システムERGOTRI NX
電子カルテを通して、患者様の基本情報・各種検査結果・資材等のマスターの自動取り込みを行い、透析情報システムからは、各部門に対して、処方・注射・検査・処置などの一括オーダー・透析中の所見、医事課への課金情報などを渡すことが可能となります。透析センター内では、患者監視装置・体重計・血圧計をオンラインで透析情報システムと接続することにより、自動除水設定・血圧データの自動取り込み・患者監視装置の各種データの自動取り込みが可能となり、スタッフが患者様と接する時間を増やすことに貢献します。さらに、透析中の記録は自動入力され容易に透析記録用紙の電子保存が可能です。透析情報システムは、患者様を中心としたチーム医療を今まで以上にサポートします。
『JMS透析情報システムERGOTRI NX』
その他の血液浄化
持続緩徐式血液透析(CHD)、持続緩徐式透析濾過(CHDF)、持続緩徐式血液濾過(CHF) 血液吸着(DHP),エンドトキシン吸着、白血球除去、胸水・腹水濾過濃縮再静注、血漿吸着(PA)、単純血漿交換(PE)などを行っています。
中央管理機器業務
令和3年3月現在の保守管理機器及び保有台数は病床数182床に対して
- 輸液ポンプ:TE-131A 51台、TE-161SA 22台、TE-171A 4台
- 経腸栄養ポンプ:TOP-A600 1台
- 在宅用携帯型:HPNポンプ 4台
- 小型シリンジポンプ:TE-361 1台
- シリンジポンプ:TE-331S 11台、SP-80Rs 2台、TE-351Q 6台、TE-SS835N 5台
- 低圧持続吸引器:SD-3000G 1台、MD-8000G 4台
- 逐次型空気圧式マッサージ器:A-VインパルスMODEL6000 8台
- SCD-700シリーズ 12台
- 人工呼吸器:Savina 2台、Savina300 3台、EvitaXL 1台、Carina 1台、Oxylog3000 1台、ART-300 1台、Trilogy Evo 1台
を稼動状況に応じてレンタルも含めて、病院の共有資産として臨床の場に最適に運用出来るよう中央管理で一括管理しています。定期点検については、輸液ポンプテスター(大正医科器械・IDA4Plus)や除細動テスター(日本光電・エネルギーチェッカー)、その他、各医療機器の専用チェッカー(漏れ電流チェッカー等)などを用いて、精度の高い効率的な点検を行っています。
手術室業務
2012年4月より1名の増員を行い、臨床工学技士が手術室に常駐になりました。業務内容は手術室設備点検・術中使用機器の保守点検・看護師教育など多岐にわたります。手術の安全かつ円滑な進行のため医療機器の安全性・信頼性の確保の為、医師・看護師と連携をとりながら日々の業務に取り組んでいます。
- 保守点検業務
手術室では術式に応じてさまざまな医療機器が使用されます。臨床工学技士は、手術が安全かつ円滑に行えるよう、機器の日常点検、定期点検、必要に応じた調整などを行っています。
手術周辺機器準備・操作
麻酔器 生体情報モニタ 電気メス 内視鏡機器 顕微鏡他 - 臨床技術提供業務
眼科手術装置の操作(白内障及び硝子体手術)
腹腔鏡手術他、関節鏡下手術等の機器操作
ペースメーカ植込手術及び植込患者手術への立会い業務
麻酔導入介助
ROSA Kneeシステムの操作
その他の業務
- ペースメーカ業務
定期的に行われるフォローアップ時のプログラマ操作とデータ管理、ペースメーカ植込み・電池交換手術時のアナライザ操作、ペースメーカ植込み患者さんの手術時の立会いなどを行っています。 - ESWL(体外衝撃波結石破砕装置)業務
治療開始前の装置の立ち上げと始業前点検、治療中の装置トラブルの対応、治療終了時のデータ転送や片づけなどを行っています。 - シャントPTA業務
物品の準備と医師の補助を行います。治療中や終了時にはシャントの状況を医師と確認して透析中の穿刺部位を検討、その情報を透析室スタッフに報告します。 - 排尿機能検査業務
検査前に機器の準備・校正を行います。検査中も立ち会い、データ処理と結果のレポートを作成します。 - 令和3年度実績
ペースメーカー業務:6件
ESWL(体外衝撃波結石破砕装置):53件
シャントPTA介助業務:11件
排尿機能検査業務:11件 - お問い合せはE-mailで(rinshoukougaku@ogoridaiichi.jp)お願いいたします。
(臨床工学科 科長 小廻哲也)