小郡第一総合病院

　

A．全く正常な指の機能回復は無理ですが、日常動作の補助になる程度の指機能の回復は可能です。腕神経叢損傷全型麻痺で指機能まで回復することは長年の夢でした。これまで種々な方法が試みられましたが、現時点では有用な手指機能が回復するのは、前述したDFMT法のみです。ただし、これにも条件があります。年齢と合併損傷が重要な要件です。受傷からの経過年数、既往手術の有無などは一概に言及できません。

A．前述のDFMT法は技術的に難易度の高い手術で、残念ながら現時点で良好な成績が報告されているのは当院しかありません。しかし、現在までに多くの専門医が当院で研修を積んでいますのでの、近い将来、多くの施設でこの手術も可能になると期待しております。肋間神経移行術も難易度の高い手術ですので、多くの経験のある施設での手術をお薦めします。具体的な施設については記載しませんが、ご相談には応じます。

A．DFMT法は現在3回の手術を要します。3回の手術を終了するまでには5ヶ月かかります。しかし、この間、すべて入院する必要はありませんが、各手術後3週間の入院は必要です。手術以上に重要なのはリハビリで、仕事を続けながらも、最低1年はリハビリを続ける必要があります。既に全国から多くの患者様のこの手術を受けられ、各地でリハビリをされていますので、各地のリハビリ専門病院をご紹介します。上位型麻痺での神経移行術では3週間程度の入院で充分です。その後、1ヶ月から3ヶ月に1回当院に通院できれば問題はありません。

A．腕神経叢損傷後の疼痛は、カウサルギーと言って治療困難な疾患です。鎮痛剤の薬物療法が主体ですが、効果がない場合には硬膜外電気刺激を行うこともあります。前述の手術による機能再建を行い、リハビリに集中している患者様は、この疼痛が軽減するようです。仕事、趣味、リハビリなど他の物事に熱中することにより疼痛を軽減させるのが一番の治療法のようです。