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橈骨遠位端骨折について

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)

橈骨遠位端骨折は、ころんで手をついた際におこる骨折で、頻度の高い疾患です。
特に骨粗鬆症のある方では多発します。手のつき方、骨折線の入り方によって、様々な骨折のタイプがあります。

症状

手首の関節部の強い痛み、腫脹(しゅちょう)、関節可動域の制限が起こります。
転位(ずれ)がある場合には変形も伴います。変形は、手関節を含んで手が背側に転位し、フォークのように変形するタイプが多いです。また、近位の主骨片で、正中(せいちゅう)神経を直接圧迫したり損傷したり、腫脹に伴う手根管(しゅこんかん)症候群により正中神経麻痺を合併することがあります。

診断

レントゲン写真、CTで診断し、ギブスで治療できるか、手術が必要かを判断する要素となります。
CTではレントゲンでは判断が難しい関節内の骨折の転位を判断することも可能であり、重要な検査となります。
当院では初診日にCTの撮影も行っております。

治療

骨折にほとんど転位(ずれ)のない場合は、ギプス固定を約4週間行います。
骨折に転位(ずれ)のある場合では、レントゲンの透視像(テレビモニター)を見ながら、徒手整復(としゅせいふく)します。徒手整復で整復位が得られ、安定していれば、ギブス固定を行います。約4~6週間固定を行います。

徒手整復しても良い整復位が得られないものや、すぐにまたずれてしまうような場合、また、関節内に骨折が及んでずれているものなどは、全身麻酔での手術が必要となります。
手術で正確に骨片を整復し、プレートやスクリューなどを使ってしっかり固定します。
当院では関節内に骨折が及んでずれている場合には、関節鏡を併用して整復固定を行っています。

リハビリ

ギブスでの治療(手術をしない方法)の場合も、手術で治療した場合も、当日より手指、肩の自動運動(自分で動かす運動)を行い、関節が固くならないように予防します。また、手を挙上することで腫れを防ぐようにします。

自動運動は、静脈の血液を心臓へ戻すポンプの働きがあり、これにより腫れを軽減、予防する効果もあります。
ギブスでの治療の場合では、約4週間ギブス固定を行った後に、手関節を動かすリハビリを開始します。
手術を行い、骨折部の固定性が良好であれば、手術後2日目より手関節のリハビリを行います。

予後

骨折してすぐに整復されず著しい変形などを残した症例は、将来、機能障害、痛みなどを生じる可能性が大きいので、場合によっては矯正手術が必要となります。なるべく早期の正しい整復保持が重要です。
また、骨折後、適切なリハビリを行わず、手指の関節の拘縮を起こす症例も少なくなく、リハビリが重要となります。まれに、転位がほぼないような場合で、長母指伸筋腱の断裂を生じる場合があります。

単純な骨折の手術であれば、一般整形外科医で手術を行っていますが、関節内に骨折が至っている場合などでは、十分な経験を有する手外科専門医がいる施設での手術が勧められます。
当院整形外科には3名の手外科専門医が常勤しており、橈骨遠位端骨折の治療に精通しております。
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